女性がありのまま生きる社会の実現を目指すCARENの挑戦

2023.06.08

<インタビューイー略歴>
CAREN
代表 松浦 桃子 氏

<略歴>
新卒で銀行に入社。ライフプランナーとして個人営業を経験。退職後、デザインの専門学校に入学し、フリーランスとして通販業界のWEBや紙媒体、SNSデザインを担当する中、身内が精神疾患を発症したことをきっかけに、2019年からマインドフルネスを中心とした心理療法やセラピー、カウンセリングについて国内外で専門家より学び始める。メンタルヘルス領域で事業を起こしたいと考え、2021年クラウドファンディングに挑戦。CARENをローンチ後、CBD製品などのオリジナル商品の販売、マインドフルネスを軸とした心理教育、グループセラピー、カウンセリング、リトリートなどのサービス提供を行う。

※本記事はLife-Tech KOBEより転載しています。

2021年より、世界規模のSDGs課題解決に挑むスタートアップの事業開発・海外展開を支援し、兵庫県・神戸市からグローバルな社会変革を生み出すシステム・プロダクトを創造することを目指し、グローバルなSDGs課題解決を目指す共創プログラム「SDGs CHALLENGE」が誕生しました。本プログラムに採択されたスタートアップを紹介していきます。

<サービス紹介>
MINDFULL LIFE THERAPYという3ヶ月の短期カリキュラムを提供。グループや個人のセッションを通して、マインドフルネスを軸とした心理教育やセラピーを行う。自己肯定感が低く、悩みを抱えやすい20代〜30代の女性を対象に、自己受容の力や自己解決能力を高めるプログラム内容を提供。また、参加者同士が対話を通して気持ちをシェアする時間を中心としたセラピーやWSを行い、クローズドで安心できるコミュニティーが形成されるのもサービスの特徴である。今後は、書いて自己対話を行うための、書く瞑想をテーマとしたノートブックの販売をするなど、心のケアを軸としたサービスを展開予定。

メンタルヘルスケアを世の中にもっと広めたい

-起業するまでの経緯ときっかけを教えてください。

松浦氏(以下、松浦):新卒で入社した銀行を退職し、元々興味のあったデザインの仕事をやっていく中で、実際にブランドやサービスをデザインすることに今後関わっていきたいなと考えていました。身内が精神疾患になったことがきっかけで、メンタルヘルスに関するマインドフルネスを中心とした心理療法やセラピー、カウンセリングについて学びはじめました。その学びを自分自身が実践するうちに、精神疾患の予防に役立つこれらの考え方が世の中にもっと広まるべきものであると思ったのがサービスを立ち上げるきっかけです。

海外では日本に比べてメンタルヘルスケアの考えが広まっているように感じますが、理由はあるのでしょうか?

松浦:ヨーロッパやアメリカを中心にメンタルヘルスケアは当たり前のこととして浸透していて、メンタルヘルス領域の市場も急成長しています。学校でメンタルヘルスの授業があったり、企業がマインドフルネスプログラムを導入していたり、日常にメンタルヘルスについて知る機会がたくさんあります。そういった社会の流れから自分の心の中をシェアすることや自分の弱さをオープンにするのが日本よりも当たり前になっているので、メンタルに不調を感じたときは気軽にカウンセリングへ行きます。今後日本でも、そういった形でメンタルヘルスケアが広がっていくと嬉しいです。

自分らしい人生を歩んでいけるような環境を整える

–SDGsチャレンジにご参加を決めた理由を教えてください。

松浦:このまま個人事業主として事業を行っていくのか、もう少し世の中に広まるサービスにしていこうかと悩んでいるときに、SDGsチャレンジの存在を知りました。現在の事業が、働きやすさや生きやすさを実現するものとしてSDGsに通ずると感じたのと、1人で事業に取り組んでいると、なかなか上手く進まないことも多く、同じように頑張る起業家や、メンターの皆さんとの関わりを持ってみたいと考え、今回参加させていただきました。

-実際に参加されてみて、どんな変化がありましたか?

松浦:参加する前は、事業規模などから、他の参加企業の皆さんがすごく遠い存在のような感じがしてました。私とは全く違うフェーズで、考え方もやっていることも全く別の世界の人たちだと想像していました。ただ、実際に関わってみると、日々向き合っている課題や考えていることはそんなに遠い世界のものではなく、小さな積み重ねで世の中にインパクトを与えるサービスを作っているんだと知りました。また、週に1回参加者でミートアップする時間があるのですが、その際に事業について他の起業家の方から toB向けのサービスを展開するアイデアをご提案いただきました。そのアイデアは自分だけでは思いつかなかったものなので、ここに参加したことで事業も自分自身も、世界が広がったように思います。

-今後社会に対してどのような価値を提供していきたいと考えていますか。

松浦:私自身も20代の間、いつも人間関係や、お金や仕事についてどう向き合うか、自分の人生をどう歩むかということに対してすごく悩んでいました。その悩みを話す場や解決するための知識を得る場がなく、1人で抱えてきました。今実際に当時の私と同じような悩みを抱える20代の方から相談を受けることも多く、メンタルヘルスや心理療法以外にも、仕事やお金に関することなど、人生の選択に役に立つ知識を学べるものに今後はサービスを広げていきたいと思っています。悩みを持つ方が1人にならないで、抱える課題を誰かに相談できる・解決するための知識を得られる場所を増やしていくことで、自分らしい人生を歩んでいけるような環境を整えていきたいです。